五感で見る映画〜うっとりする程美しい庭と共に

映画『モリのいる場所』99分。


 2018年5月19日公開。




あらすじ

昭和49年の東京都・豊島区。


 実在した高名な画家である

モリこと熊谷守一(94歳)と

妻秀子(76歳)の

ある一日を描いています。


 モリは30年間自宅から一歩も出ず、

毎日自宅の小さな庭を探検します。


 庭の草木は、ほとんど手を加えず、

自然に生えるがまま。


 木々や草花に集う鳥や蝶や虫たちを、

モリは日がな一日、

飽きることなくジッと観察する。


 彼の目は「虫の目」のようです。

他人が見たら狭い庭も、

モリにとったら広い大宇宙。


 同じようで同じではない毎日を、

彼は好奇心と深い洞察力を持って

じっくりと味わいます。


 だから、30年ものあいだ外に出なくても

全く飽きることはないのです。


 そして時おり、

モリはアトリエに籠り絵を描きます。


 本質を捉えた彼の描く絵や、

力みのない自然体の書は人気が高い。


 映画でも、檜の一枚板を持参し、

長野県からやって来た旅館の主人が

「揮毫を書いてくれ」と、

頼みに来ているシーンがありました。


 30年以上暮らす古い家の中は、

使い込まれた数々の道具同様、

独特の味わいがあります。


 その居心地の良さに、

来客たちの中には、モリの家にずっと入り浸り、

一緒にご飯を食べている人もいます。


 ご近所さんから、県外からやってくる人まで、

とにかく訪ねて来る人が多い。


 だから、秀子や手伝いの姪はいつもその応対で忙しい。


 結婚して52年。

 妻の秀子は、そんなモリをずっと支え続けてきました。

 

 ある日、

国から文化勲章を授けるという話がくるが、

モリは断ってしまいます。

 

自分の名誉よりも、妻の体の方が大事!


 理由は、今以上に人が殺到して、

秀子の負担が増えることを怖れたからでした。


 淡々とした中にも、

互いに思いやりを持って接する二人の姿に、

歳を取っても

こうゆう夫婦でありたいなと思いました。


 今から40年前の、

今よりもずっと時間の流れが緩やかだったあの頃。

 自分の幼少期を思い出し、とてもなつかしく感じました。



 

映画『フラワーショウ!』100分。

2014年、アイルランド🇮🇪

2016年7月2日日本公開🇯🇵



あらすじ

 アイルランドの片田舎で育ったメアリー・レイノルズ。

 そんな彼女の夢は、 

いつか自分のデザインした庭で世界を変えること。


 メアリーは夢をかなえる為、

有名なガーデンデザイナー・シャーロットのアシスタントになるが、

散々コキ使われる。


 しかも、これまで描きためた

大切なデザインブックを盗まれた上に、

クビになってしまいます。


 どん底に陥るメアリーだが、それでも夢を諦めきれなかった。

 彼女は100年以上の歴史を誇る、

イギリスのガーデニング世界大会『チェルシーフラワーショー』に

出場することを決めます。


 金もコネもないメアリーの前に、

「25万ポンドの資金繰り」

「上流階級の壁」

の2つの壁が立ちはだかるが、

持ち前の知恵とアイデアと

友人の力を借りて乗り切ります。


 彼女は2000人の応募者の中から、

8枠に選ばれる。


 メアリーは、たまたま居合わせた人の縁を辿って、 

セクシーでミステリアスな植物学者のクリスティや

ヒッピー風の庭師らと出会います。


 彼らとチームを結成したメアリーは、

ロンドン・チェルシーの会場に向かいます。


 100年以上の歴史と権威ある「チェルシーフラワーショー」


 豪華絢爛な大舞台。


 メアリーは、あえて華やかな花を使わずに、

サンザシの木と雑草だけ

という型破りなアプローチで挑みます。



 どんな試練を与えられても、夢を諦めないメアリー。


 彼女は、一期一会の出会いをとても大事にする人です。


 その細い糸のような繋がりを辿り、

自分が一番必要としている人を引き寄せ、

チャンスをつかみ取りました。


 些細な手がかりから、

チャンスの神様の前髪をガッチリつかむメアリーの生き方は、

是非とも見習いたいです。


 ヒロイン・メアリーは、

型破りなアプローチで、フラワーショーに新風を起こした、

実在する景観デザイナーがモデルです。




 
 

映画『マイ・ビューティフルガーデン』92分

 2016年、イギリス。


 図書館に勤めるベラは、

モノの並べ方や毎日同じ生活スタイルを貫くことに、

こだわりがある変わり者。


 実は、無秩序に成長する植物が大の苦手のベラ。

庭付きの家に暮らしているのに、

手入れを怠り過ぎて、

彼女の庭は見るも無残な荒れ放題に。


 そんなベラの隣人であるアルフィーは、

頑固で偏屈な老人だが、

人一倍美しい庭を愛する人間。


 だから、庭を荒れ放題にさせているベラのことを

忌々しく思っています。

 

 ある晩、癇癪を起こしたアルフィーは、

5年間家政夫として雇っていたヴァーノンを

クビにしてしまう。


 双子の女の子を育てながら、

職を失ったヴァーノンを気の毒に思ったベラ。


 彼女は咄嗟に「自分が雇う」

と、アルフィーに宣言してしまいます。


 アルフィーは、

美味しい食事を作ってくれるヴァーノンが居なくなり、

日々の食事に苦労するありさま。


 素直にヴァーノンに謝れないアルフィーは、

彼を返せとベラの職場にまで押しかけますが、

断られてしまいます。


 ある日、不動産会社の人間がベラを訪ねてやって来ます。

 彼は、荒れ果てた庭を見て、

「ひと月以内に荒れ放題の庭を綺麗にしなければ部屋から退去してもらう」

と、ベラに宣告する。


 ベラは、ヴァーノンに手伝ってくれるように頼むが、

酷い花粉症の彼は庭に出ることができない。


 仕方なくベラは、

たった1人で庭中の雑草や、

からまったツタと格闘するが、

どうにもならない。


 「3度の食事を作るから、ベラに力を貸してあげて欲しい」

 見るに見かねたヴァーノンは、アルフィーに頼みます。

 アルフィーは承諾します。


 それから、アルフィーの指導の下、

ベラの庭の大改造が始まります。


 互いの利害の為に協力しあう

ベラとアルフィーとヴァーノンだったが、

共同作業するうちに打ち解けあっていきます。


 アルフィーに庭や植物のことを教えてもらい、

彼のアドバイスに従って、順調に庭造りが進んでいくベラ。


荒れ放題だった庭が、 

美しく変化するにつれ、

彼らを取り巻く世界も変わっていきます。




 

 見所は、

 アルフィーの作り上げた四季の花々溢れる庭。


 そして、植物園に迷い込んだような彼の家の居間の美しさ。


 これには思わずため息がこぼれちゃいました。

 ガーデニング好きなイギリス人が作った映画ですよね。

 

 


 




映画『ヴェルサイユの宮廷庭師』117分

2015年、イギリス🇬🇧


 1682年、フランス。


 太陽王ルイ14世は、

栄華のシンボルとして、

ヴェルサイユ宮殿の増改築を計画します。


『 誰も見たことのない、これまでの概念を覆す庭園を造りあげろ!』


 国王の庭園建築家である、アンドレ・ル・ノートルは、

手付かずになったままの土地に

『舞踏の間』の建設を命じられます。


 そこでアンドレは広大な庭園を造りあげる為に、

自分の手足となる有能な庭師を募集し、面接をします。


 何人かの庭師が、我こそはと応募してきます。

 サビーヌ・ド・バラもそんなひとり


 だが、サビーヌの発言が、

伝統と秩序を重んじるアンドレを怒らせてしまいます。


 サビーヌは、

アンドレを怒らせた自分が選ばれることはない

と、早々に帰宅してしまいます。


 一方、面接した庭師たちに提出させた設計図を見ていたアンドレは、

サビーヌの設計図に目が釘付けになります。


 郊外にあるサビーヌの自宅を訪ねたアンドレは、

彼女の造りあげた小さいな庭を見ます。


そこには無秩序の中の美が存在していました。


 自分にはない

大胆で自由な発想と才能を評価したアンドレは、

サビーヌを指名します。


 工事が始まりますが、

自分の指示通りに職人たちが働いてくれない

という目に遭うサビーヌ。


 コンペに敗れた同業者による嫌がらせでした。


 だが悲観せず、

ひとりで黙々と泥まみれになって働くサビーヌに、

味方となってくれる親方が現れ助けてくれます。


 彼は、質の高い職人たちを連れて、

手伝ってくれることになりました。


 アンドレも、サビーヌや庭師たちと一緒に、

庭園造りに没頭していきます。


アンドレは、サビーヌと仕事を通して過ごす時間が増えるにつれて、

次第に彼女に惹かれていきます。



 そんな二人を見て面白くないのが、

アンドレの妻のマダム・ル・ノートル。


彼女はプライドの高い、恋多き女性です。


 「アンドレの名をここまでにしたのは、社交界で活躍する自分のおかげ」

と、夫であるアンドレをどこか下に見ています。


 「何をしようと互いに自由でいましょう」

そう言って多くの男性と不倫を楽しんでいた妻。


 仕事に夢中になるあまり、

以前と違い自分に無関心なったアンドレに対して、

危機感を抱きます。


 今更のようにすり寄っていく妻だが、

夫アンドレの心は、

すでに仕事とサビーヌに占められていました。


 自分は不倫し放題だったくせに、

夫が別の女に夢中になるのは許せない!


「サビーヌの造る庭をめちゃくちゃにして欲しい」


 マダム・ル・ノートルは不倫相手に、嗾しかけます。

 男は、人を使って水路を破壊します。


 大雨の日。

 庭園の見回りをしていたサビーヌは、

増水した水路の仕切り板を上げられたことに気づきます。


 彼女は危険な水路に入って行きますが、

 誤って転落してしまいアンドレに助けられます。


アンドレとサビーヌは、 

庭師総出でなんとか復旧させようと努力します。


 だが、あまりにも酷い有り様に周りからも、

「これは無理じゃないか」と、言われてしまいます。

  

 幾多の困難に遭いながらも、

それでも必死に立ち上がろうとするサビーヌ。


 そんな強い彼女にも、

誰にも言えない辛すぎる過去がある。


 その過去の揺り戻しに涙し、

慟哭するシーンは心臓がぎゅーとつかまれます。


 あんな辛い過去を抱えながら、

必死に前進しようとするサビーヌを癒してくれたのは、

彼女の家の庭にある植物たちだったんだなぁ。



この作品は2015年の10月に見ました。

また見たくなってDVDを借りました。


 絢爛豪華なヴェルサイユ宮殿、

 王家主催の舞踏会、

 美しい衣装の数々、

 広大な庭園、

 妖精の住処のようなサビーヌの自宅の庭。


 夢のような世界を舞台に、

強さと脆さを併せ持つ

ひとりの女性の生き様が描かれています。




 

 

 



ebigoro2's HAPPY CINEMA LIFE

大好きな映画やDVD。 日々の生活のあれこれー お気に入りのモノや 風景とともにー ゆるく気ままに綴ります(๑˃̵ᴗ˂̵)

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